昭和34年の創業時、初代店主が作り上げた中山せんべいの「手焼きせんべい」は、すべて熟練の職人である店主が一人で、手作業で焼きあげていました。3代目となった現店主でもそれは変わらず、創業時からの工法と伝統の味を守り続けています。
完全手作りのため、せんべいが出来上がるまでには原料の配合調整や釜の温度調整のほか、気温・湿度・天候などにも配慮する必要があり、熟練の職人の経験や勘が物を言います。
機械では出せない、手作りにこだわる伝統の味を、ぜひ一度ご賞味ください。
まずは、小麦粉や砂糖などの原料を、水を入れながら練り上げていきます。一番最初の工程ですが、実はここがとても大事で、水加減を間違えると最後の仕上がり(食感など)に大きく影響してしまいます。
最初の生地作りで食感や美味しさが決まってしまう部分もあるので、ここは気温や湿度を見ながら、職人の経験で水加減を調整したり、練りすぎると食感に影響してしまうので、生地の状態を見ながら練りを調整したりします。
生地が出来上がったら、適度な大きさに切り分けて、豆をトッピングしていきます。ただ豆を乗せているだけのように見えるかもしれませんが、生地の大きさや豆の付け方によって、せんべいの出来上がりや見栄えが変わってしまいます。ここもやはり、職人の経験が必要になります。
トッピングが終わったら、焼成作業に入ります。窯の温度は約150度の熱で、4分半ぐらいの間で焼き上げます。焼き上げには気温も影響するため、細かな微調整も行っていきます。
生地の仕上がり具合を見ながら、焼き時間や窯の温度を調整するため、経験を積んだ職人しか出来ない作業です。
焼き上がったら、出来上がりをひとつひとつ職人の目でしっかりチェック。形の悪いものや、焼き具合が足りなかったり、焼きすぎてしまったものは選別され、良い仕上がりになったせんべいだけが商品となって梱包されていきます。
焼き上がったら、時間をおいて冷却し、味を落ち着かせます。冷まし時間も、気候や湿度によって変える必要があり、冷ましすぎると湿気ってしまうこともあるので、ここも職人の経験が大事です。
完全手作りのせんべいですので、せんべいの耳の部分のカットも、すべて職人が手足業で行います。手作業なので完全な円形にはなりませんが、その分趣のある形に仕上がっていきます。
袋詰も手作業で行います。出来たてのせんべいよりも、3〜4日寝かせたせんべいのほうが、味が落ち着き、美味しくなります。
手作りせんべいは、週に3000枚枚程度しか焼くことは出来ませんが、それでも美味しいせんべいを作るためには、手作りにこだわる必要があると強く感じています。
手間ひまかけて焼き上げた手作りせんべいは、あまり量を作ることは出来ませんが、当店にしか作れない自慢の一品です。パキパキした食感と自然な甘さ、そして香りの高さをぜひお楽しみください。